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ヒストリー1

HONDA2サイクルファンに送る新たなProjectが動き始めました。以前当社で製作販売されていた「TZR500V4」に続く2サイクルシリーズ第2段 NSR400(仮称)今回はNS400RのエンジンをVFR400のフレームに搭載し、外装関係もデザインを一新したホンダ2サイクルGPレプリカマシンを製作します。現在排気ガス規制等により2サイクルマシンが激減していますが少しでも長く楽しめるマシンを製作してみたいと思います。このページではNSR400の製作過程等を掲載していきます。余談も多々ありますが・・・。

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子どもの頃初めて乗ったGT50(通称ミニトレ)、「なんて早いんだ!自転車なんて比べものにならないぜ」と感動していた私に父は「このエンジンは2サイクルで爆発排気繰り返しているから早いんだ云々・・4サイクルは云々・・ヤマハは2サイクルが云々・・簡単に分解できるどうしたこうした・・」と、熱心にたいして判りもしない小学3年の私に説明してくれました。思えばそれが2サイクルとの出会いだったのでしょうか。詳しい話は理解できなかったものの、2サイクルエンジンは早くて簡単に分解できること、そして子どもでも簡単にエンジンが始動できること、この3つのことは子どもながらすごくインパクトがありました。
家業がバイク屋(私中村は2代目です)だったことをいいことに、DAXやモンキー、RD50TY50(足のつくやつ)などを隣の空き地で勝手に乗り比べ、子供心に2サイクルエンジンの方が早いと感心していたものでした。こんな楽しいバイクたちが消えていこうとしています。
「軽いが一番」が信条のオートバイから軽量・高出力エンジンが消えるのは本当に惜しい気がします。ではなぜ消えていってしまうのでしょうか。ピーキーなトルク特性からくる蹴っ飛ばされたような加速感、そしてあのサウンド(特にチャンバーをつけた2サイクルマシンでシフトダウンして加速したあの瞬間)これは2サイクルでなければ味わうことができなかった。そして煙、確かに煙をモクモクはいて甲高い音をたてて走る姿は環境面から見れば決していいものではないでしょう。今の4ストマルチなら加速感も十分に体感できるし、最高速でもかなわないし、エンジンの焼き付きの心配もない。だけど2ストファンはなんと言われても2ストが好きなのです。
今一番問題となっている排気ガス規制がレーサーレプリカ全盛期に行われるのであったなら、メーカーはきっと規制をクリアすることにその全勢力を傾けたに違いないのだが・・・。
メーカーは2サイクルエンジンを捨てざるを得ないのかもしれないが、私たちの力で新しい形で残していけるのではないだろうか。ひとにぎりの2サイクルファンのためにも、合法的に安全に乗り続けられるように手助けが出来ればと思っています。話はそれましたが、今回私どもで企画している新しい2サイクルシリーズNS400エンジンをVFR400フレームに搭載したホンダGPレプリカ「NSR400R」。意外とあんちょこな名前ですが、ホンダではこの名前でリリースした車両がないので採用しました。(かっこいい名前があったら教えてください。メールお待ちしています)過去にRZVのエンジンをTZR250のフレームに搭載した車両「
TZR500V4」この車両は排気ガス規制のため現在製作が困難になり生産が終了しています。

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ではなぜNSR400Rだと排気ガス規制にかからなく製作できるのか。前回製作していたTZR500V4(右の写真)は、フレームは軽二輪・原動機(排気量)は小型二輪であるため、登録は小型二輪となり、書類上は新車扱いとなります。ということは申請した年の技術基準等がすべて適用され、排気ガス基準・ブレーキ基準も適合させて規制をクリアしなければなりません。この規制をクリアするためには、金銭的にも技術的にも大変なので、惜しまれながら終了しました。しかし、今回の企画、VFRの場合は基本的には小型二輪のままですからメーカー生産時の技術基準を満たしていれば認定に問題ありません。
当時は排気ガス規制はまだ実施されていないので、原動機の変更及び車枠改造の申請で認定(車検)がとれます。
                                
しかし、フレームに認定外のエンジンを装着するにはそれなりの強度及び加工技術が必要で、簡単には認定が取れないため様々な問題をクリアしなければなりません。原動機を交換したことにより、走行中にフレームにかかる応力等を分析して壊れないエンジンマウント・フレームへの補強などを施しそれを数値に表さなければならないのです。規制緩和された今でも認定を取るのには必要な事項です。

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ここまで私たちが認定にこだわる理由は「すべてに於いてリーガル(合法)でありたい。社会人の乗り物は不正改造であってはならない。」というのが我が社のモットーだからです。その理念の基に、私たちは長年構造変更申請に力を注いできました。
10数年前、当時はボルト一つ交換しても(重要部)強度検討が必要だったので、一台のオートバイを申請するにも大量の書類が必要でした。規制緩和された今でも、このときに勉強した保安基準・技術基準など、大いに役立っていることは事実です。その後オリジナルフレームを組立車として登録したこと(このことはオートバイにおいては日本で始めてのことなので私たちの自慢です。)この仕事は何しろ日本では初めてのことなので誰に聞くこともできず、フレームに加わる応力などを中心にずいぶん研究に研究を重ねました。この車両(上)を製作するに当たりフレームの材質はどうしようかとスタッフと話しをしましたが「どうせ作るならアルミと鉄パイプの組み合わせで製作してみよう!異材質を組み合わせた場合のフレームにかかる応力等が勉強できる!」。ということでスイングアームピボット廻りはアルミで製作してユニット化して色々なパイプワークのフレームを組み合わせできるようにしました。(下)今まで多くの公認車両を製作してきたのだから、安全基準をクリアすれば絶対できると信じて出来あがったのがこの組立車:ASS-TY001(エンジンRZV500)。                                                        
                
運輸省(現国土交通省)では「組立車」というジャンルがあります。当社のような自動車メーカーではない者が車両を新規(フレーム)に製作して認定を取る場合はこのような扱いの車両になります。意外と聞き慣れない言葉ですが、光岡自動車も最初はこのジャンルから始めたと思います。車検証の記載も車名及び型式の覧には「組立」と記載されています。
このジャンルの定義は「メーカー以外の者が自動車部品を組み合わせて車両を製作する」ということなのでまさに私たちにぴったりです。メーカーの場合は試作車になります。基本的には少量生産車のジャンルですが、申請する内容はメーカーが車両認定を取る場合と同じです。この車両を製作した1995年は二輪の技術基準もそれほど厳しく無いのですが、「前例が無いので難しい」という運輸省の検査官に対し「だったら私が前例を作りましょう!」と言った私の熱意を理解していただき色々相談しながら申請書類の作成にかかりました。フレーム、足廻り関係をメインに検討し、十分な強度と安全性を考えた車体を設計し、走行中フレームにかかると考えられる外力等あらゆる場合を想定した強度計算書など提出した書類は約100枚!。ちょっとした論文になってしまいましたが、受理されたときは今までの苦労が吹っ飛ぶぐらいうれしかった事を覚えています。

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この写真は組立車TY001の認定を取得しているところです。申請は大変ですが、検査は申請どおりの部品が装着されているか、寸法は、重量はどうかの確認と通常の車検と同じく検査ラインを通し、問題なければ職権打刻をして終了です。写真ではよくわかりませんが、うれしそうに打刻しているのは私です。                                                            
この組立車:ASS-TY001。このバイクは本当に楽しく、みんなで乗りまわして遊んでいました。何たって私たちが作った世界で1台の正規認定車両ということと大排気量2サイクルエンジン!、パワーバンドに入ったとたん勝手にウイリーするし、しかも4気筒2サイクルエンジンのシフトダウンして加速したときのサウンドはまさにGPレーサーそのもの!オートバイの
パワーユニットは2サイクルに限ると思った瞬間です。
これをきっかけにCRレーサーフレーム+X L250エンジン仕様で軽二輪の組立車登録にも成功!スタッフ全員で頑張ってきたのでその喜びは大きなものでした。もしかすると本当に長年の夢だった「世界最小のフレームメーカー」になれるかもしれない!よしこれからたくさんのフレームを作るぞ。フレームビルダーになるんだ。と意気込んでいたものの(そのまま頑張っていたらなっていたはず・・)日々の忙しさを理由にどんどん後回しになり月日がたったある日のこと、アルミフレームのターミネーター仕様でエンジンはYZ500しかも空冷でとオーダーがきました。その他様々要望を確認してさっそく図面を引き運輸局に相談に行ったとき、大変なことを聞かされたのです。「中村さん、新規車両の製作時にブレーキ試験が始まったの知ってる?」「なにブレーキ試験?聞いてないよ!」大変な衝撃を受けたことを今でも覚えています。話を聞くと「まだ始まったばかりなので試験場もはっきり決まってないから自分で探して」とのこと・・トホホ・・これが私たちの長くつら~いブレーキ試験の始まりです。この続きは後ほど、つづく。

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話は戻って本題に入りたいと思います。NSR400Rを製作する際注意する点は重心位置、スプロケット位置、スイングアームピボット位置、タイヤサイズは車両を製作する上でとても重要でこの位置を決定するすることから始まります。オートバイは加減速で車体はスクワット(スイングアームが沈む)やダイブ(スイングアームが伸びる)を繰り返します。スプロケット位置、スイングアームピボット位置、タイヤサイズこれらの位置関係によって旋回中や加速時の接地感が大きく変わります。車体は加速Gによるリアへの荷重移動(遠心力もかかる)を受け止めながら姿勢変化させることが重要で上記の位置関係が悪いと荷重移動のままいつまでも沈みっぱなしでリアに掛かる荷重がなかなか落ち着かず接地感がつかみづらい車両になってしまい、セッティングでは解決しない車両になってしまいます。右図はその関係を示した物で当社が車体を設計する際に作図するもので新規にフレームを設計する際に検討する為に作図して、ホイールベース、キャスターアングル等も検討します。しかし今回は既存のフレームを使用しますが、今まで多数の車両を製作してきた実績がありそのノウハウを生かし最善の位置にエンジンを搭載して製作していこうと思います。重心位置に関してですがVFRの重心が掲載されている資料が無いため軸重を参考にして合わせていきたいと思います。

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左写真は原動機が搭載されたものですが、原動機の搭載に関してマウントも大きなポイントと思っています。
NS400Rのエンジンはラバーフローティングマウント方式が純正採用されています。当社もこの方法で搭載したいと思います。
原動機の固有振動は私たちの判らないところで色々な影響が出ますので純正方式を採用することにしました。リジット方式の方が剛性が上がるという考えもありますが、このフレームは充分剛性があると思いますので、完成後計測器を車体に搭載し実走行してフレームに掛かる応力を計測して確認したいと思います。

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エンジン搭載図右
キックの作動に注意する。

エンジン搭載左図
チェンジの作動に注意する。

フレームにエンジンが搭載されました。後の加工はラジエター関係、チャンバー関係、エアークリーナー関係、外装関係、電装関係です。まず、ラジエター関係ですが、NS400純正を使用する予定でしたがスペース的な問題と、加工性の問題があるので使用することを断念しました。コスト的な面を考えると純正を装着した方がいいと思いますが、物理的(大きさ等でハンドル切れ角等に支障をきたす場合等)な問題があるので、他の純正ラジエターを加工して装着することにします。ラジエターの加工も意外とコスト高になる可能性がありますが、今回は試作のためとりあえず製作したいと思います。

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エンジンマウント裏側

フローティングマウントの為トルクロッドをフレームに取り付ける。

原動機を搭載したNSR400の全体図です。

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ラジエターはNSR250とDT200用を分解して製作します。写真の様にコアサイズを計測してコンタマシンで切断します。切断したラジエターを車体に仮付けし、ステー及びパイプレイアウトを検討して各パーツを製作してラジエターに溶接します。写真にはありませんが高圧をかけて漏れチェックをして完成です。今回製作したラジエター容量は大きいと思いますが試作のため実際に走行して温度を確認して、オーバークールの場合ガムテープ等で塞ぎ適正サイズを確認してみたいと思います。
次回はチャンバーの製作、外装の製作編をお見せしますのでお楽しみに!

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